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新聞記事を楽しむ6

8月20日の昼、広げた新聞の上でごろんと寝そべっている一才の猫“ちび”と早朝から始
めた新聞まとめ読みが終わった。穏やかな時間だった。15日間の記事を読み、あらためて戦後70年の今、平和の尊さを覚えた。

8月6日、作家・阿川弘之さんの作家活動について、「阿川弘之さんの作家人生の原点に、20代で体験した戦争があった。その背景には、『自分は不思議に生き永らえて帰ってきたという負い目』とともに『なんであんな戦争をしたのか』という『敗戦の悲愁と悔恨』があった。また、戦争で散った若い命を悼む気持ちを最後まで持ち続ける、『侵略戦争』という言葉はそれを『無駄死に』扱いするものとして嫌った。」と紹介されていた。

8月14日には版画家・彫刻家、浜田知明さんが熊日新聞「戦後70年を考える」に寄せた随筆に、「自分が戦死したとしても、その魂が靖国に行くなどと考えたことはなかった。死者の魂が棲むのは、彼らが愛した肉親や親しかった人たちの心の中であり、その人たちが死者を想うとき、そのときだけ彼らは蘇る」。僕は『精神がなってない』と、上官に殴られ通しだった。でもそんなことは我慢できた。しかし、自分の考えを持つことを許されないのが耐えられなかった。国家があって国民があるんじゃなくて、国民があって初めて国家はある。」と記されていた。

9月4日、【デスク日記】で戦争体験者の一人が、「ある日突然、始まるわけじゃない。大きな流れに乗ってしまう前に気配を察知し、『これは変だ』と思ってもらいたい。そのために自分は体験を語っている」と紹介されていた。

まとめ読みで“平和、戦争、国民、国家、変だ”と感じようとしない自らのひらきぱなしの感情を自覚した。さっそく、ちびと新聞をそのままに、本棚から校歌の歌詞を取り出し〽回らす山の広けき平野・・・平和平和人生の幸福やがて 茲に生れん〽を読みながら、本校の校訓“平和”をもう一度深く見つめ直した。

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