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地域一丸で挑んだ夏 大塚将希さん(多良木高校3年)

人間力が野球力

今年の夏の全国高校野球選手権熊本大会でベスト4入りした、多良木高校野球部主将の大塚将希さん(18)に話しを聞いた。

小学2年生から、くまベアーズで野球を始め、多良木中では1年生で唯一ベンチ入りし、県中優勝・九州大会ベスト4に貢献。3年生時には全国大会出場。多良木高校入学後には1年生の夏からメンバー入りし、高3で主将に抜擢。斉藤健二郎監督が最も重要視するポジション捕手としてチームをけん引した。

それまでは自分しか見えてなかったが、捕手または主将として「周りを見ることが自分の仕事になった」と話す。9つのポジションの内、唯一反対方向を向いてプレーするのが捕手。「味方の表情が見えて安心します」という。当初は「感情で野球をするな。視野を広げろ」と叱咤される事が多々あったというが、「夏前には、やっと周りが見え冷静になれる様になった」という。

春の大会で熊本工にコールド負けし、チームの雰囲気も悪くなったが、夏に熊工にリベンジと、持ち前のリーダーシップでチームを鼓舞した。「自分は何もしていません。指導者やチームメイトに恵まれただけです」と謙遜。人間力を鍛え人として大事なことを教わった。「全てが野球に繋がる」と信じ、為になる事は何でもしてきたという。

『グラウンドから教室へ・教室から社会へ』の斉藤監督の教えを守り、「夏は負ける気がしなかった。野球の神様が普段の僕たちを見ててくれていたはず」。と話す通り、次々とシード校を破る快進撃が続いた。毎試合多くの応援団が駆けつけ、「感謝の言葉しかありません」。「一人で野球は出来ませんから。スタンドの大応援があったから勝てた試合ばかりです」と語る。

技術だけではなく『地域貢献』や『人間力向上』に取り組んできた多良木高校。そんなに応援してもらえる学校(選手)に、結果として地域の大応援団という、10番目の選手の後押しがあったのではないだろうか。

「高校野球を通じ、人と人との繋がりの大切さを地域の方々に教わったと思います」と大塚さん。今後は自身の夢である消防士を目指し、地域に恩返ししたいと話した。

感謝の気持ちを大事にし、人間力を重視してきた多高健児の姿に、本来あるべきスポーツ現場の理想像を見た。

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