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新聞記事を楽しむ 9

~チビとコーヒーカップ~

実は、家族の一員であったチビ(茶トラ)が、自宅前で車に敷かれてしまった。悲しくて涙が止まらなかった。今も、薪ストーブの横にある、チビ専用の猪口を見るたび思い出す。もう少し優しい運転が出来なかったのか。つい考えてしまう。

そんな折、熊日新聞10月30日の朝刊記事、“日本各地の伝統的窯元から若手陶芸家まで。第12回天草陶磁器展”に目が留まった。記事には、「わたしたちが生きるという事のその中には誰かが作った無数のモノがありそれを取り巻く環境、思想がある。それぞれのより良い暮らしを求めて、人は工夫し努力している。アマクサローネは、人々の暮らしの中を取り巻くモノ、そして営みの中の行為に焦点を絞り誰かの生活に寄り添っていけるモノ、そして新たな日々が始まるようなコト等を紹介する。それは誰かが探しているモノ、コト達の見本市、今年のテーマは『コーヒー』」と紹介されていた。記事を読み、“生活に寄り添うモノ、新たな日々が始まるコトの紹介”つまり作者のロマンの提案なんだと感じた。

30年前、古い香蘭社のカップに出合い、手で触れた瞬間、スキッとした優しさが痛烈に伝わり、同時に“これが本物、良いモノか”と強烈に感じた。以来、あの感動を思い “良いカップを求め”、カップを眺め、提案への謎解きをしている。暮らしのモノ、コトが読み取れるようになった気がする。ふと、チビを想う時、モノ、コトに気づく人であれば、良い運転が出来たのではと考えてしまう。最近も、近所の可愛い犬が敷かれ、スピードを出し通り過ぎた話を聞いた。チビと一緒に寝ていた柴犬、テルにもこの話をした。



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