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新聞記事を楽しむ 10

30日、「はい、トンー・はい、トンー」つき手の声と、杵と臼が奏でる響き音と一緒に、
恒例の餅つきが終わった。今年も、釜戸に薪を焚きつけ、沸騰した釜の上にもち米を
入れた蒸籠を載せて蒸し上げ、臼の中に入れ、杵でついた。もっぱら、外に設けた釜
戸の薪焚と釜のお湯管理を担当していた。すると、部屋の中から「今年もみんなのお
蔭で、恒例の家族餅つきが終わりそうです。良かった。ぜひ、30日の家族行事、餅つ
きを続けてくださいね」と話し声が聞こえてきた。
その時、ふと、12月25日の熊日新聞、学生ページ【直言】に、八代市立博物館学芸
員鳥津係長さんが、“本物を見抜く力”「本物こそ人生を変える、自分の目で確かめる」
と述べていた記事、 《若い人は情報に右往左往しているように見えます。自分の目や
耳や足で、事実を確認しなきゃいけない。僕が『ラーメン屋理論』って言ってる考え方が
あります。『あそこの店はおいしいらしい“らしい”』と言うのと、『おいしかった』では信ぴ
ょう性が違うでしょう。ネット情報も、直接の体験なのか伝聞なのか孫引きなのか、見極
めなきゃいけない。時代を見抜く力が必要なんです。若いときは時間もあり、何でもトラ
イできる。ネットで調べるんじゃなく、現地に行って本物を見てほしいんです。一流を見
れば人生は変わります。それが、博物館の役割だと思っています。》が思い浮んだ。
そうか、訪れた人が、自らのライフスタイルを見つけ出す手がかりとなる空間が博物館
なのか。また、家族そろった餅つきは、家族に地域の文化や風土を伝えて合う家族伝
承場なのかと、気づいた。樫の薪がいっそう温かく感じた。



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