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スポーツ現場最前線 転換期の今 何を考える

昨今のスポーツ現場における取り巻く環境が大きく変わり始めている。体罰・パワハラ・暴力(言葉を含む)等、連日何かしらメディアで耳にする。その中でよく聞く「選手ファースト(アスリートファースト)」に注目してみた。選手の為をと一番に考えて取り組む。大変すばらしい考えだ。しかしどうだろう、あまりにも過剰に周りが反応しすぎではないだろうか?選手と指導者の間に信頼関係があってこそ競技技術が向上する。その信頼関係の中には、当然厳しさ等も含まれると考える。そこが行き過ぎると判断されれば、第3者の目が反応する。このパワーバランスの乱れが、現代のスポーツ環境を大きく変えようとしていると強く感じる。学生スポーツの指導現場でも、こういったトラブルが多い事も事実だ。決して体罰やパワハラを肯定するつもりはないが、危険と隣り合わせにあるスポーツは「気の抜けた行動を取らせる訳にはいかない」と指導者は考える。どうしてもある程度の厳しさは必要になってくる。昔と今の指導を比べるのは良くないかもしれないが、昔は厳しいのが当たり前で、輪を乱す事を悪しとされ我慢を覚えさせられた。

話は少し変わるが、大地震後の被災者の方達が給水や給配食の際、きちんと行列を守り、略奪行為などがない様子を世界のメディアが称賛したとの報道を目にした。これこそが日本人の良さ、先人たちが教えてきた、我慢強さではないだろうか。我慢の背景には厳しさや辛さがある。それらを乗り越える力が、我慢強さとなる教えのひとつと考えられていたのではないだろうか。

スポーツも色んな意味で転換期にきている今、組織のガバナンスを含め、我々第3者も本当の「選手ファースト」に向けて考えていかなければいけない。スポーツ記事を書く身としても辛い話題が多いスポーツ界。高校野球問題に然り、体操問題に然り、今後より良い方向に進展する事を切に願いたい。

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